9)9.11 復興祈願
震災から半年を迎えた9月11日、金華山は朝から雨模様でしたが、この日は偶然にも己巳の日辯財天御縁日祭の日にも当たり、午前十時の巳の刻から弁天堂にて祭儀が執り行われました。
午後零時五十分には東日本大震災復興祈願を大護摩祈祷併合の上で執り行い、一般の方1名と石巻ボランティア支援ベース絆様から26名、牡鹿ボランティア様から20名の参列があり、東日本大震災の復興祈願はもとより亡くなられた方の慰霊、そしてボランティアの方々のこれまでの尽力の慰労と作業安全の祈祷を行いました。
午後2時46分、防災無線により長音のサイレンが鳴ると、島内にてもめいめいが黙祷を捧げました。その頃には天気も晴れ間を見せ、泊まられる5名のボランティアの方と男子社員とともに作業に取り掛かりました。
例大祭に向けての石の間の整備と石燈籠の修復が課題となっていました。
作業は順調に進み、震災で崩れた石関係のものは大概が修復できた形となりました。
角切り行事に向けて、角切り場にも着手し、後は着実に復旧復興がはずみをつめて進むはずでした。
10)9.21 台風15号の爪痕と例大祭
ところが、秋雨前線とともにやって来て非常に強い勢力のまま富士山を越え日本列島を縦断した台風15号は、金華山・牡鹿半島においても直撃し、極めて甚大な被害を残すこととなりました。
これにより、状況は全く一変し、県道鮎川線が一時通れなくなった他、特に境内参道の被害が甚大なため、予約されていた100名近くの例大祭の参列者には全てキャンセルの連絡を申し伝え、停電・断水となった状態で、再び境内復旧に向けて態勢を立て直さざるをえませんでした。
9月23日朝、秋季霊祭を斎行した後、土石流により崩落した参道を荷物を歩いて抱えながらもようやく社員全員が神社に集まることが出来、9月24日には緊急支援のボランティアの方々が再び1泊2日で入って頂き、社員も含めて総出で復旧作業に当たり、状況は何とか改善の様子を見せました。
角切り行事は道路の崩落と参道の危険度により中止となりましたが、例大祭はそれでも厳粛にほぼ従来通り斎行することとなりました。期せずしてたまたまフジテレビの取材の方もボランティアの取材の関係で泊り込みで見えられて状況を密着取材されておりました。
また、前日から危険な状況にもかかわらずどうしても来山したいという崇敬者の連絡があったため、その方たちのみ自己責任を了承された上で長靴等の装備をされ、桟橋からの神職の案内のもとに参道を歩いて登り、無事祭典に参列されることとなりました。
例大祭は見事な秋晴れのもと厳修され、大規模な参道崩落箇所も石巻ボランティア支援ベース絆の方々の神業的な尽力により危険度も大きく下がることとなりました。車は参道途中まで下がれるようになり、依然として長靴は必要ですがそれまでは歩いて渡れる形となっています。
その後継続的に牡鹿ボランティアを中心として復旧活動は進み、境内の修復は日を追うごとに進捗しております。
ただ、危険箇所があることには変わりはありませんので、今後の天候、また台風などの影響によりどれだけまた山崩れが起きてしまうか分かりません。
今回の台風の被害は、「金華山黄金山神社境内修復並びに緑化推進事業」を立ち上げるきっかけとなった平成18年の爆弾低気圧の数倍もの規模で、地震により地盤が緩んでいたことも考えられますが、今度は山津波として大きな爪痕を残し、とても敏感な山肌の状況を作ることとなってしまったものと思われます。
その完全な復旧にはまたしても目処は見えず、神社としても画策しておりますが、何とかして皆様が安全に御参拝できる状況を作りたいと日々復旧作業に精を尽くしております。
状況が全く変わってしまいましたので、参拝時の注意点の方も情報更新いたしたいと思います。
11)台風被害復旧作業、恵比須祭
台風15号の被害はことのほか甚大で、それでも神社は一歩ずつ前へ進もうと努力いたしております。
ボランティアの方々がそれを後押しして下さり、マイクロバスが津波で流されたことを聞いて、石巻支援ベース絆の方々(カーシェアリング協会・石巻復興支援協議会)より奉納の四駆のオデッセイ、軽トラック、クローラー(運搬機)が、津田海運様のご協力により燃料等の物資を載せて到着致しました。
また牡鹿ボランティアを通じて千葉県の山岳会の方々には、まず境内地の溢れ出る水の経路を通常通り土管を通して流れるように尽力下さり、境内地の台風被害の中で最も深刻なダムの大量の土砂撤去作業には、同じく牡鹿ボランティアを通じて兵庫県の山岳会の方々が尽力下さいました。
それでもまだまだ復旧個所は課題として多く残っており、社員のみの日々であっても少しずつ着手しております。
去る10月10日には、恒例の恵比須祭が斎行されました。朝から小雨模様の天気は祭典が佳境にはいると一気に秋晴れとなり、参列者は社員5名のみでしたが恵比須尊の朗らかな御神徳を称える良いお祭りとなりました。
まだまだ応急処置であり雨が降ると危険が増す参道の状況の困難さにも拘わらず、参拝者の方も少しずつ訪れ、神社は間もなく冬を迎えるため、お正月の受け入れについて本格的な準備を迫られております。
12)甲子大黒祭、神社庁ボランティア、新嘗祭
去る11月4日午後11時、郵送のみの受付の御案内状を出していたためわずか6名のみが参列されましたが、深夜の祭典である甲子大黒祭が幽玄かつ厳粛に斎行されました。
次いで11月16日には宮城県神社庁から県内別表神社各社、また宮城県神道青年協議会よりボランティアの方々が一泊二日で来山し、台風ですっかり泥が詰まってしまったダムの泥上げ作業にご奉仕・ご尽力下さいました。
金華山の水のライフラインとなる、自然の水を濾過して使用するための境内地のダムは、台風により壊滅的な打撃を受け、ここを整備することが悲願となっていました。
表参道、燃料小屋、資材置き場なども台風の土石流のためやられていますが、最優先の参道崩落個所のほか復旧必要個所はまだまだあり、年内に終わる見込みはとうてい持てず、年度内も難しいかと見込まれています。
そのような中、11月23日には新嘗祭も斎行されました。
全部で27名の参列者が祈祷殿で修祓を受け殿内を参進すると、晴れ時々曇りの天気予報にも拘わらず拝殿まで来ると同時に雨が降り出し、祝詞の最中は本降りとなり、祭典が終わるころには雨が上がるという不思議な天気でしたが、無事滞りなく終えました。
お正月の3が日は、新聞等の広告は出していないものの、被災地の復旧復興は終わったものと思われる方も多く、混み合うことが予想されますので、混乱しないよう何とか体制を整えているところです。
13)「金華山支援プロジェクト」
12月13日に恒例の煤払い行事を終え、例年の七朝祭郵送分の発送準備作業に取り掛かると、正月3が日の受け入れ準備が急務となり、ボランティア絆の助さんに連れて来て頂いた石巻災害復興支援協議会の伊藤会長を始め、同事務局の中村真菜美氏、日本財団の黒澤氏、森の楽園鈴木氏他NPO法人キャンパーの飯田氏等が下見に訪れ、「金華山支援プロジェクト」と題して大規模なボランティア活動を計画することとなりました。
12月17日朝から石巻専修大学野球部の35名と東松山市の11名が日帰りでダム泥上げ作業ほか資材取り出し作業、注連縄張り替えと常夜燈にかさをかぶせる作業にご協力頂き、同日牡鹿ボランティアを含めたオリックスの方々には1泊でダム泥上げ作業に従事されました。
12月19日から4泊5日の予定で「金華山支援プロジェクト」が始動すると、ピースボートを始め石巻を拠点とする10団体以上のボランティアの方々が連日30名前後で作業奉仕され、引き続きダム泥上げ作業ほか常夜燈一基の完成、表参道の修復、売店前広場の修復、参道危険個所の補修、資材置き場周辺の片づけ、売店内の泥出し・大掃除と実に多方面にわたって尽力され、報道陣も駆けつけましたが、本当に大変に助けて頂きました。
14)平成24年お正月のことについて
また、正月3が日の船時間も決定致しました。
元旦の夜間は危険のため運航されず、3が日の間、日中7:00~15:30の間で鮎川航路より4社の12人乗りモーターボートが随時運航されます。
鮎川港では仮設待合所が開設され、案内・誘導員もつき、炊き出しの屋台も出ます。
金華山に着いてからは、10人乗りのワゴン車が用意されましたので、それに乗り神社まで到着できます。
神社においても無料待合所が開かれ、暖や食事をとることもできます。
船便の待合い時間が増えることは予想されますが、御祈祷・御参拝は通常通り可能です。
不明の点は神社までお問い合わせ下さいますようお願いいたします。
注意点としては、仮桟橋や参道の不完全さにより、靴にお気をつけいただくことです。
登山道も台風の影響が残り、今までの道とは違っていますのでご注意下さい。
震災に明け暮れた一年がようやく終わり、新年の始まりを迎えるにあたり、あらためて被災地の早急な復興と日本の安泰、皆様方の御健勝と御隆盛をご祈念申し上げます。
15)年末年始のこと
平成23年の年の瀬も押し迫る頃、12月28日には朝5時起床となり恒例の新春を迎える餅搗きを社員総出で行いました。
そして平成24年壬辰歳が幕を開けると初日が昇り明るい時間だけ船が運航し、元旦から400名を越す崇敬信者・参拝者が島を訪れ、3が日でおよそ1000人、案内誘導のボランティアもつき無事事故なく混乱もなく、お正月の初詣をされて行かれました。
たまたま仙台放送の取材の方も見えられ、金華山の頂上に登り、初日の出も撮影されたとのことです。
年の初めにその年の良きことを祈願することは、日本に伝統的に根ざしており、毎年神社寺院に多くの人々が詣でます。
神仏のご加護をいただく願いは震災に直面しても決して消えることのない伝統であり、むしろ多くの方々が様々な願いをされていかれたことと存じます。
大震災の震源地に最も近かった神社としては、変に受け止められるかもしれませんが、責任感を持って、この震災からの復興を成し遂げたいと考えております。
16)震災ドキュメントの終了 ~そして巳歳~
世の中では復興庁が定まり、被災各地に復興局が出来てこの度の東日本大震災の本格的な復興が足並みを揃えて進行して行く最中、金華山でも日々着実に復旧復興への険しい道のりを少しずつ進んでおりました。
牡鹿ボランティアを窓口として各地のボランティアの方々が毎週土日に一泊で作業に来山され、懸案のダム泥出しは下の大きなダムに関して1月22日を持って終了致しました。後は洗浄を行えば水が貯められる状況となっています。
現在は上のダムに取り掛かり始め、また平行して油倉庫内の土砂撤去作業や角切り場までの砂利道の修繕、焼却炉の修理などを行っています。
拝殿前常夜燈修復を昨年中に見事一基完成させた福井県の溶接工ボランティア上川氏も2月に再来山され、多方面な各所修復作業も御協力頂いた上で、二基目を五月初巳大祭まで完成させたく日々尽力されております。
来る3月18日には、頂上奥の院の大海祇神社の例祭を控えておりますが、社殿は地震で半壊となっており、本年は頂上ではなく、祈祷殿にて祭典を斎行致す予定となっています。
来年巳歳には、この頂上奥の院の神社例祭日(3月18日)から、巳歳御縁年大祭がスタートします。それまでには何とかして修復致したいものです。
震災から一年、今年の3月11日には、やはり金華山においても復興祈願祭を早朝斎行致す予定となっていますが、被災各地で慰霊祭等が行われる特別な一日となりましょう。
果たしてそれからさらに一年後、平成25年3月には金華山はどこまで復旧復興しているか、出来る限りのことは成し遂げますが、是非多くの皆様に安全で快適な金華山を体験して頂くよう、努めてまいりたいと思っております。
震災ドキュメントは一年を持ちまして保管することと致し、今後の経過報告は「巳歳・復興へ向けての歩み」の項に掲載することと致したいと思います。
何卒、今後とも末永い御支援、御見守りのほど宜しくお願い申し上げます。
17)補足 参拝・来山時の注意点、連絡先
以上のような状況ですが、金華山に参拝される際には、まず船の予約が必要です。
現在(2月16日)主に運航しているのは鮎川浜よりシードリーム金華山汽船の不定期航路モーターボート「シードリーム」(0225-44-1055)と金華山観光の不定期航路モーターボート「くろしお」(0225-45-3377)、寄磯浜より同じくモーターボート「なべちゃん」(090-4888-3178)です。
女川便は当面の間、運休せざるをえなくなっております。(潮プランニング 090-4639-9038)
金華山に渡ることが出来ても、土砂災害により地盤が非常に弱くなっておりますので、落石注意の箇所があるのは否めません。参拝される場合は、服装・靴にお気をつけ下さい。
また、大震災の地盤沈下により、桟橋が1m20cmから1m50cm下がっているため、満潮の時間になると確実に冠水しますが、昨年10月末日、港湾工事により仮桟橋が完成しました。
まだまだ不十分ではありますがこれにより満潮時間でも船が接岸できます。
現在は参道が桟橋まで開通しており、事前に御一報いただけますと桟橋まで車でお迎えに下がることができます。
県道鮎川線は、現在は工事中の箇所は多くとも通行可能となっております。
満潮時間・高潮にもお気をつけて下さい。
鮎川港周辺はお車の特定の場所はない状況となっていますので、港湾から少しでも離れた場所にお留めいただくか、七十七銀行鮎川支店の駐車場をお借りいただくこともできます。
なお、境内は参拝可能ですし、大護摩祈祷は通常通り斎行可能です。
神社職員は常に常駐するかたちとなっていますので、ご安心下さい。
震災、そして台風被害のため少しの雨天など荒天により状況が悪化しやすくなっております。波が高い場合は船自体運航できませんが、金華山の参道・境内も天候の影響を受けやすくなっていることにご注意下さい。
大規模な被害の為、復旧の目処は立っていません。
来られる際には是非神社までお気軽に御一報下さいますようお願い申し上げます。
以下に連絡先を記しておきます。
連絡先:
金華山黄金山神社社務所
石巻市鮎川浜金華山5
0225-45-2301(代表)
FAX 0225-45-2303
社務所携帯番号 (金華山社務所につながります)
080-6046-7685
メールアドレス
kinkasan@cocoa.ocn.ne.jp
船会社連絡先:
鮎川浜
㈱金華山観光 モーターボート「くろしお」 0225-45-3377
シードリーム金華山汽船 モーターボート「シードリーム」 0225-44-1055
住吉丸 090-2278-4087
寄磯浜
遊覧船なべちゃん 090-4888-3178
女川港
㈱潮プランニング 090-4639-9038
以上