東日本大震災ドキュメント02

6)それから

五月の初巳大祭を終える頃には島内の八重桜も散り際を見せ、季節は新緑のまぶしい頃となっていました。
桟橋の冠水状況は相変わらずのままで、満潮の度に様々な漂流物が押し寄せて陸に上がり、桟橋まで車で降りる度に大きな電信柱のような木材を二人、三人がかりで取り除いてから車で通行できるようにします。

冠水した1号桟橋

冠水した2号桟橋、3号桟橋

桟橋付近に漂着物として打ち上げられていた太鼓を、拾い出してみると石巻市雄勝のもので、宮司がそれを納め届けに行くと、白銀神社という神社のものと分かり、その御祭神は金山毘古神・金山毘売神であり、金華山と同じ御祭神であったというエピソードは、どこか心をなごませるものがありました。

神社の掃除はまだまだ続き、この機会にとあちらこちら大掃除を行い、普段の掃除とともに神社は清潔に保たれています。
この大掃除により奥の間から大量の古文献が出てきたのは思わぬ収穫でした。


現在(5月21日)、金華山航路をめぐる問題は何ら進展しておらず、電話の代表番号(0225-45-2301)が仙台旭ヶ丘連絡所の方に転送されることがようやくできたため、問い合わせの件数は多くなっておりますが、桟橋の冠水状況、県道鮎川線の道路状況(地割れと満潮時の冠水)と金華山参道の土砂崩れの状態に代わりはなく、社員や業者関係者が干潮時を狙ってモーターボートで島に渡ることがかろうじて行われています。
島内社務所・参集殿の水は配管が復旧し、トイレや生活用水は確保できていますが、潔斎所のお風呂はまだボイラーが故障しているため入れません。電話は海底ケーブルがやられているため通じませんが、電気は牡鹿半島から鉄塔を通じて通電しています。ガスほか燃料は備蓄分がいくらかあり、食料は社員の出入りの時に買出しという調達の形で補給しています。

鮎川港観光桟橋

石巻市鮎川町内

 

金華山の窓口、門前町となる鮎川港、女川港とともに重大な被災地であるため、そちらも地盤沈下により桟橋の冠水という状況は変わらず、このままでは、漁港としても危機に瀕するため、石巻市・女川町の観光協会とともに行政に働きかけ、近々宮城県に要望書を提出する運びとなっています。
今回の震災は、これまで金華山が経験してきた火災や地震とも異なり、南三陸沿岸部全体が津波により甚大な被害を受けるという例を見ないものであり、今後の復興・再生は国の力を借りざるを得ません。
微々たる力ですが、神社おいても毎朝の御日供祭にて、この度の震災に関して、一日も早く復興を祈る復興祈願祝詞と金華山海域において惜しくも命を落とされた方々の物故者慰霊の祝詞を毎朝奏上することとなりました。
幸いにも完全に無事だった辯財天奉安殿においては恒例の「己巳の日辯財天御縁日祭」が先日の己巳の日(5月14日)、万端滞りなく斎行されました。

7)それから その(2)

桜の季節はとうに過ぎ、青葉が繁り、梅雨の長雨を経て、島内の蝉の鳴き声も絶えない暑い夏がやって来ました。
この間の変化と言えば不定期航路のモーターボートが時々参拝者を幾人か乗せて来るようになったことで、その中には、神奈川県の寒川神社御一行様の御参拝、宮城県内の別表神社宮司御一行様の御参拝もありました。
(7月中は震災直後と比べると、通常通りとはほど遠いですが、多くの御祈祷参拝の方が見られるようになりました。)

6月7日にはガス会社の来山により給湯器が復旧し、ようやくシャワーが浴びられるようになり、6月21日にはようやくNTTの電話復旧工事が完了し、FAXはまだ使えませんが電話回線は繋がることとなりました。

そのような中、祭典神事は例年通りに恙無く斎行致しており、6月15日の御末社五十鈴神社の例祭、6月24日同じく御末社愛宕神社の例祭、6月25日同じく御末社金ぐい神社の例祭、6月30日には参籠者4名の参列による夏越しの大祓式、7月10日には御末社濱神社の例祭、などが斎行されました。

御末社金ぐい神社の例祭

夏越しの大祓式

御末社濱神社の例祭

6月28日には、ボランティア団体オン・ザ・ロード様に支援物資を頂きました。

復旧作業としては、細かい作業の他、日々の清掃、祭典準備などを行っています。

桟橋の状況はすでに5月30日に、宮司と各観光協会長連名にて県知事に直接、桟橋の早期復旧の要望書を提出致しましたが、今回の大震災対応は政府の混乱により極めて遅れが目立ち、鮎川港の漁港はいくらか補修がなされたものの、金華山の桟橋は完全に手付かずのままとなっております。

お電話によるお問い合わせのほとんどが、「現在金華山に渡ることはできるのですか」というものです。

次項において詳細を記しますが、その回答は「渡ることはできます。ただし、地盤沈下により桟橋が満潮の時間になると完全に冠水して船が着けられないため、定期船は運休しており、不定期航路のモーターボートをご利用いただくことになります。」というお答えになります。

(各々の会社の連絡先は次項に記してあります。)

潮の時間は日々刻々と変わるため、その日の干潮が何時になるかを前以て船会社にご相談いただき、予定を立てられれば確実です。

また、ご祈祷に関しましては、随時、島において斎行致しておりますので、来山時はもちろん可能です。郵送においてのお取扱いも、日数は通常よりいくらか長くかかりますが、随時可能です。

間もなく7月最終土曜日(7月30日)には、金華山龍神祭が斎行されます。

毎年この日と次の日曜日には、龍神まつり龍(蛇)踊り奉納として勇壮な龍(蛇)踊りが盛大に奉納されておりますが、本年は安全を重視して中止とさせていただくこととなり、祭典は神事のみ行われます。

しかし、龍(蛇)踊り奉納は本年、石巻の川開き祭りにて執り行うことが可能となり、8月1日の午後2時より、石巻駅前の立町通り交差点にて、石巻地域の復興の祈願も含めまして、復興パレードの中で奉納できることとなりました。

震災後、無事だった龍体を確認し、龍踊り奉仕会員の龍を操る龍衆、また鳴り物衆の安否確認から始まってお声がけさせていただき、やろう、やりましょう、という有り難い返事を頂戴し、川開き祭りとの日程の調整をはかって、何とか実現にこぎつけた次第です。

本年はこの一度限りの奉納となりますので、毎年来山されて観覧されている方、のみならず金華山の龍踊りを一度も見たことのない方も是非こちらにてご覧いただければ幸いに存じます。

8)それから その(3)

7月最終土曜日の7月30日には、八大龍王神碑前にて龍神祭が神事のみ、滞りなく斎行されました。

震災5ヶ月目の8月に入り、お盆が過ぎて行く間に被災地の仮設住宅も一段落し幾分の落ち着きを見せる中、夏祭りの季節が到来して各地では鎮魂と復興の花火が打ち上げられました。そうした真夏の猛暑続きの中、金華山でも復旧復興の着実な進展がありました。

8月1日、石巻川開き祭りでは初めての龍(蛇)踊り奉納を、各方面からの厚い御協力のもと、無事盛大裡に納めさせていただきました。

問い合わせは多いのですが、不定期のモーターボートによる鮎川航路が定着しており、御祈祷・御参拝・御参篭の方も、細々とながらも次第に多く、以前ほどではありませんが、日によって予約が混み合うこともあります。

山梨県北口本宮冨士浅間神社様のご支援や、京都大学理学研究科中川様代表のキヨシロウ金華山震災支援グループのご支援・御協力もあり、また、8月20日より二泊三日にわたる石巻ボランティア支援ベース絆を代表とするボランティアの皆様の境内復旧作業の御奉仕には、大変に助けられました。






あまりの猛暑のためか震災の影響か、一時深刻な水不足に悩まされましたが、その後天気は一転して涼しくなり雨も降って、ボランティアの皆様の御協力と社員の尽力によって地震直後に戻ったかのような水の問題も解決致しました。

桟橋付近がいまだ手付かずの状態であるため定期便は運休したままであり、先の見通しはまだ見えて来ませんが、9月25日の例大祭に臨んで、各所修復を進め、また一区切り成し遂げようと致しております。

季節は間もなく秋を迎え、10月には鹿の角切り行事も10月2日の一日に凝縮して行われる予定です。

遅きに失したこともありますが、金華山黄金山神社名にて、「祈復興」の手拭いを作成いたしております。

この度の震災に関して、被災地の復興、また金華山の復興を祈願致しましてお作り致しましたが、復興のための支援の意味も含め金1,000円にて販売致したく考えております。

何卒御協力のほど宜しくお願いいたします。

 

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